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五嶋みどりさんコンサート in LA

先日の日曜日に、世界でも指折りのバイオリニスト五嶋みどりさんのコンサートに行ってきました(4/13(Sun) 7:30pm at Walt Disney Hall in Los Angeles)。

全体の感想
彼女ほど、バイオリンを弾いている姿から、バイオリンへの愛情と優しさがほとばしる人はいないのではないか、と思うくらい、素敵な演奏姿。また、例えば、最後の音を奏でた後、5秒前後は弓を下ろさず、音を発していないけれど無音の時間も音楽の一部として大切にしていらっしゃる等、彼女の音楽に対する姿勢・考え方が端々に現れていて、バイオリン・音楽を慈しむこと、それを体現しているかのよう。
みどりさんのバイオリンはこれまで聴いた中で最も好きな演奏でした。

以下では、演奏された曲目のご紹介と、素人の感想、そして試聴できるサイトのご案内(演奏家は違いますが...)を記したいと思います。

プログラム
バイオリン  五嶋みどり
ピアノ     Robert McDonald

1. Dvorák: Romantic Pieces, Op. 75
19世紀後半のチェコの作曲家、ドボルザークによる作品(1887年)。みどりさんの美しい音色が存分に活かされ、プログラムを通して、最もよかった曲。
ゆっくり目の曲で、バイオリンの音を伸びやかに弾くことが求められる曲ですが、彼女のバイオリンは深く長くのびやかにメロディーを歌っていて、とてもうっとり。今なお頭の中でメロディーがぐるぐる。
試聴:こちらの"prelisten album"

2. Franck: Sonata for Violin and Piano in A major
19世紀後半のベルギー出身の作曲家・オルガニストであり、フランスで活躍したフランクによるバイオリンとピアノのためのソナタ(1886年)。フランス系のバイオリンソナタの最高傑作といわれているそうです。
ピアノはバイオリンの伴奏ではなく、それぞれが主役でありながら、仰々しくない。一定の主題がいくつもの楽章で共通で用いられているのですが、それをピアノとバイオリンで掛け合いながら美しく展開。とても洗練された音楽で、「清」という字が思い浮かぶ、そんな曲。
試聴:こちらの曲名リスト1.
    みどりさんとMcDonald氏による演奏はこちらの4.。

3. Beethoven: Violin Sonata No.6 in A major, Op. 30, No. 1
休憩を挟んだ後半の1曲目は、18世紀後期から19世紀前半のドイツの作曲家、ベートーベンによるバイオリンソナタ第6番(1803年)。
ベートーベンなので、太くずっしりした音を多用されるのかと思いきや、かわいらしい音楽に仕上げていましたが、それはプログラムの構成上、次の曲とのギャップを作るため、と思われます。
ピアノとの掛け合いが絶妙。ピアニストのMcDonald氏とは長年コンサートやCD録音を一緒にしているだけあって、息もピッタリ、でした。
試聴:うまく見つかりませんでした。見つかり次第リンクします。

4. Corigliano: Sonata for Violin and Piano
20世紀前半生まれの米国の作曲家、コリリアーノによるバイオリンとピアノのためのソナタ(1963年)。
これまでの3曲と打って変わって、ばりばり「現代」の曲。プログラム中、最もバイオリニストの演奏技術を要するもののようにお見受けしました。低音と高音を瞬時に続けて弾くところ(バイオリンの奏法の用語をを知らないので幼児用語で言うと、「ぎっっちょん、ぎっっちょん」と聞こえるところ)などは、上手な人が弾かないとただの耳障りな音になりそうですが、さすがはみどりさん、面白いと思わせる音楽に仕上げていました。とはいえ、正直なところ、1~3楽章は、「興味深い」とは思ったものの、心地よいとか楽しいとかっていう気持ちにまではなれず。4楽章は楽しめたのですが。
試聴:こちらの6.~9.

アンコール
拍手が鳴り止まないからか、2曲もアンコールを弾いて下さいました。公式サイトによれば、ご自宅はサンタモニカにあるそうなのですが、地元だからのサービスだったのかも!

1. Massenet: Meditation violin solo from Thaïs
19世紀後半から20世紀初頭に活躍した、フランスの作曲家、マスネーによるオペラ「タイス」内の1曲(1894年初演)。とても聞きなれた、甘美なメロディーの曲も、みどりさんの手にかかると、もっと美しい曲になりました。
試聴:こちらのDisk2の9.

2. Fritz Kreisler: Syncopation
19世紀後半から20世紀に活躍した、オーストリア生まれのバイオリニスト・作曲家、クライスラーによる作品。
曲名の通り、シンコペーションを使った曲で、とってもリズミカル。思わず身体が動いてしまうくらい。彼女はきっと、ポップスなんかもとても素敵に弾かれるだろうなぁ、と思ってしまった一曲。
試聴: こちらのサンプル12


みどりさんは、世界各国での演奏活動のほか、15年以上前から様々な社会活動をなさったり、南カリフォルニア大学(USC)の教授として指導にあたったり(2004年~)、心理学の修士号を取得(2005年)なさったり、国連平和大使になられたり(2007年~)ととても幅広い活動をなさっている方。幼い頃から世に名を知られているけれど、まだ30代後半。これから益々精力的にご活躍される方だと思います。音楽を愛する者として、そして一みどりさんファンとして、今後も彼女の音楽そして活動を応援していきたいと思います。また来年もLAでコンサートをして下さったら、必ず足を運びます!

(ご参考)
五嶋みどり 公式サイト: http://www.gotomidori.com/japan/

by smthng-new-evrydy | 2008-04-17 22:43 | 音楽